20世紀も終わろうとしていた年の秋、彼は当時住んでいた北関東の中核都市のアパートに現れました。私はいつものように会社から帰るとアパートの入り口近くにあった植え込みの人工芝に彼はいました。第一印象はちょっとふてくされている感じで、「ただ猫がいる!」って感じでした。その後チョコチョコそこで彼を見かけるようになりました。そのうちアパートの優しい住人がいろいろなものを彼に差し入れるようになりました。差し入れされたものを見ていると、例えば菓子パンとか海老煎みたいなお菓子とかで彼にとって美味しそうなものではありませんでした。その光景をみていて我が家では実家で猫を飼っている妻が猫缶を持っていてこれをあげてみようとのことになりました。実際にはミルクとともに猫缶をあげたのですが、彼はとても美味しそうに完食しました。どうやらこれがお気に入りになったらしく二階にある我が家の扉まで来るようになりました。