首輪事件

 それからしばらくは夜になると彼は我が家の扉にやってくるようになりました。でも、扉の前に来ても彼がきたか我々にはわからない。そこで彼は遠慮なくニャオニャオと鳴きました。ここはペット不可のアパートだったのでちょっと困ったものでした。扉を開けて玄関の前でミルクと猫缶などをあげました。もの凄い勢いでミルクを飲み干すとそそくさと帰って行きました。こんな日々がしばらく続きました。

そんなある日、彼が白い首輪をつけて現れました。誰か飼い主が見つかった(もしくはいた)のかと喜びとちょっと悲しい複雑な感じでした。飼い主がいるのならここでご飯をあげるのもいけないと思い、これ以降はしばらくご飯を与えるのをやめていました。それから1週間位して再び彼がやってくると首輪がなくなっていました。そしてとてもお腹がすいているようでした。そこで再びご飯を差し入れる事としました。私と妻の間では今でも「あの首輪は何だったのだろう??」というのが謎となっています。首輪を自分で噛み切ったのか?いたずらをして飼い主さんの気が変わったのか?後々の彼の行動をみると両方ともあり得る話です。