鼻ちょうちん事件

 ごろーさんは縄張りで番を張っていただけに力は強かったみたいです。敵も多く怪我してくることも多かったのですが、体は意外と弱く病気がちな面がありました。

 ある日の事、異変に気づいたのはごろーさんが家の椅子で眠っている時でした。スヤスヤと寝息を立てているかと思っていると、鼻から風船みたいに鼻ちょうちんが出ていました。私も妻も最初は笑ってみておりました。しかし、次の日になるとだんだん食欲が無くなってきました。普段なら家に帰って来るとミルクとご飯を残さず食べるのですが、ほとんどご飯に口を付けなくなりました。さすがにこれは笑ってはいられなくなり動物病院に連れていく事としました。

 病院に着くと、今までもそうだったのですが、診察台が体重計も兼ねており最初に体重測定をなります。その結果によると前回測定時より体重がずいぶんと減っていました。ここ数日食欲がなかったのが影響したのでしょう。次に体温を測りました。今なら非接触の体温計もあるのでしょうが、当時は人間が使うような普通の形をした体温計で計りました。どうやって測るのかなと見ていたら、何とごろーさんのお尻の穴にブスッと体温計が刺されました。これにはちょっとびっくりしましたが、ごろーさんはなぜか特に変わった表情は見せませんでした。不意を突かれて反応できなかったのか、具合悪くさすがに元気がなかったのかでしょうか。お医者さん曰く熱があるねと言われました。後で調べみると猫の平熱と体温の測り方がネットにありました。それによると今でも正しい体温測定方法のようです。

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 体温以外にも触診をして、眼、口、耳などの状態を一通り確認して、お医者さんの結論は、どうやら何らかの感染症の疑いがあるとの事でした。そして、インターフェロンという薬を注射することになりました。外に出かける猫なので感染症にかかるリスクも大きいとの事でした。本当は外に出さない方がよいのだけどね〜言われました。どうやって注射されたのかは、看護師さんに別室に連れられてしまったのでわかりませんが、そこでも借りてきた猫のように大人しくしていたとの事です。そして家で飲む錠剤の飲み薬を処方されました。薬をあげた事ありますか?と聞かれましたが、野良猫だったごろーさんにそんな事するわけありません。お医者さんにやり方を教えてもらいました。正式には噛まれないように片手で口を広げて薬を喉の奥に置いて飲ませるのですが、食事に混ぜてもよいとのことでした。

猫の薬の飲ませ方 コツをお教えします - 日本動物医療センター
動物病院で処方されたお薬をご自宅で飲ませようとした際に、その大変さにお困りになった経験をお持ちの

 病院から帰り、さてどうやってお薬をあげようかと試行錯誤しましたが、直接錠剤をあげてみることからチャレンジしてみました。左手でごろーさんの口を背後から持ち口を開かせ、右手に錠剤を持って喉の奥の方まで入れて飲ませようとしますが、当然ものすごく抵抗します。しかもごろーさんの手は抑えられないので、私の手にはごろーさんの爪が遠慮なく攻撃してきます。錠剤を喉の奥に置いて、口を上に向けて吐き出さないようにします。ごろーさんは必死で吐き出そうとしますがどうやらごくんと飲み込んでしまったようです。その際のごろーさんの「飲んじゃったよ!」という表情はとても印象的でした。今回は薬をあげるのに成功しましたが、私の手は血だらけになってしまいましたので、次の回は食事に混ぜてみることにしました。最初いつもの缶カンとカリカリに混ぜてみましたが、そもそもあまり食欲がない事もあり、見事に薬をよけて食べていました。そこで思いついたのは、カリカリに小さな穴を開けて錠剤を中にはめ込み、しかも錠剤が見えないようにご飯粒で塞いでみました。そしてごく少量だけ与えてみたところ間違えて食べて(飲んで)しまいました。やれやれ。

 そんな格闘が数日続き、お医者さんにも何回か通っているうちに何とか体重が減るのがおさまり、食欲も復活してきました。よかったよかった元気になった。