続・続・世界のワクチン事情

世界のワクチン事情の2021年9月1日時点となります。


世界の接種状況

世界の接種状況を接種数で一覧としました。
接種数では人口が大きく影響するので人口の多い国が上位となっています。
その中で日本は昨月と同じで5位となっています。健闘していると思います。

なお、下図中に略号で表したのはワクチン種類となります。
Pf=ファイザー、As=アストラゼネカ、Ga=ガマレヤ、Mo=モデルナ、J&J=ジョンソン&ジョンソン、SP=シノファーム、I=インド血清研究所、SV=シノバック

順位国名ワクチン接種数人口比接種%PfAsGaMoJ&JSPISV
1中国2,076,428,000 144
2インド661,576,916 47
3アメリカ371,280,129 110
4ブラジル195,521,167 91
5日本132,033,831 105
6ドイツ102,198,167 122
7インドネシア100,684,323 36
8トルコ94,873,884 112
9イギリス91,155,368 134
10フランス88,314,528 131
11メキシコ85,845,792 66
12ロシア81,226,019 56
13イタリア78,212,408 130
14スペイン66,464,730 142
15パキスタン58,156,714 26
16カナダ53,446,948 140
17韓国44,521,980 87
18アルゼンチン42,792,677 94
19サウジアラビア37,352,153 106
20ポーランド36,335,572 96
21マレーシア35,150,474 107
22モロッコ34,160,942 91
23フィリピン34,112,320 31
24チリ29,195,306 152
25スリランカ20,638,181 96
26ベトナム20,210,381 21
27エクアドル19,704,153 110
28オーストラリア19,697,498 76
29カンボジア19,246,143 114
30ペルー18,815,933 56
31UAE18,289,168 183
32ベルギー 16,225,066 139
33ポルトガル14,770,220 145
34キューバ14,328,571 127
35イスラエル13,874,391 158
36南アフリカ12,841,537 21
37スウェーデン12,700,896 125
38カザフスタン12,108,285 64
39ハンガリー11,633,799 121
40チェコ11,497,205 107
41ギリシャ11,439,413 110
42ドミニカ11,189,420 102
43台湾10,982,471 46
44オーストリア10,474,281 116
45ネパール10,092,164 34
46ルーマニア9,782,320 51
47スイス9,643,084 111
48エジプト9,391,465 9
49ウクライナ9,358,193 22
50シンガポール8,903,991 151


他国との接種スピードの比較による日本の状況

ワクチン接種開始直後は様々な事情によりバラツキ が大きいため、ワクチン接種数が人口比で3%を超えた日を起点(ゼロ日)として各国の接種スピードを比較しました。ワクチン接種率が100%を超えるのは2回接種が必要なワクチンが多いためです。現在模範となっているイスラエルの例をみると120%(イスラエルでは2回接種ワクチンが使われているの60%の人が2回接種を終える)位でサチレートしているので、この120%を当初目標値とみるのがよいと思います。また、イスラエルではブースター接種(3回目)がはじまっているので再び接種数が増加し現在160%付近となっています。

日本で人口比接種数が3%を超えたのは5月5日ですので、接種が本格化して4ヶ月程経過しました。9月2日時点で106%となりました。これは約半数の人が2回目の接種を終えたこととなります。この数字上はアメリカが111%なのでほぼ同じレベルまで到達しました。
接種スピードでみると日本は世界的にみても頑張っていると言えます。接種開始に出足が遅れたのが悔やまれます。このままの接種スピードが維持されると仮定すると9月末頃には120%(60%の人が2回接種を終える)を超えて欧米諸国と肩を並べると予測されます。

接種が先行している国の状況

さて、ワクチンの接種が順調に進んだ後の、δ株などの変異株の影響はどうなるのでしょうか?
それを予想するため人口比で接種が進んでいる国の順に並びかえてみました。この順位ではアメリカは43位、日本は49位でした。
島国や比較的小さな国で人口比接種率が高い国が多いことがわかります。また、ワクチンの種類の影響についても分類できます。

順位国名ワクチン接種数人口比接種%PfAsGaMoJ&JSPISV
1ジブラルタル78,889 234
2UAE18,289,168 183
3ウルグアイ5,636,765 162
4イスラエル13,874,391 158
5マルタ797,017 155
6アイスランド527,908 154
7カタール4,479,962 153
8チリ29,195,306 152
9シンガポール8,903,991 151
10マン島127,749 150
11ガーンジー99,484 148
12デンマーク8,586,828 148
13フェロー諸島71,315 145
14ポルトガル14,770,220 145
15中国2,076,428,000 144
16バーレーン2,492,774 143
17スペイン66,464,730 142
18カナダ53,446,948 140
19ベルギー 16,225,066 139
20アルバニア148,632 139
21アイルランド 6,853,648 138
22サンマリノ46,556 137
23イギリス91,155,368 134
24フランス88,314,528 131
25モンゴル4,337,491 130
26イタリア78,212,408 130
27ノルウェイ7,055,589 129
28キューバ14,328,571 127
29スウェーデン12,700,896 125
30フィンランド6,865,509 124
31キプロス1,098,334 124
32モーリシャス1,564,974 123
33ドイツ102,198,167 122
34ハンガリー11,633,799 121
35ルクセンブルク764,330 120
36リトアニア3,179,919 118
37オーストリア10,474,281 116
38カンボジア19,246,143 114
39リヒテンシュタイン43,139 113
40トルコ94,873,884 112
41キュラソー182,930 111
42スイス9,643,084 111
43アメリカ371,280,129 110
44ギリシャ11,439,413 110
45エクアドル19,704,153 110
46マレーシア35,150,474 107
47チェコ11,497,205 107
48サウジアラビア37,352,153 106
49日本132,033,831 105
50ドミニカ11,189,420 102

UAE・バーレーンの状況

UAEとバーレーンはペルシャ湾岸にあり地理的に近い関係です。また両国は中国のシノファームワクチンを主に使用しています。この二カ国の傾向には大きな違いがありました。UAEは当初から陽性率が低くワクチン接種数が20%を過ぎた頃より陽性率が徐々に低下しています。一方でバーレーンは接種が進んでも陽性率が上昇を続けました。そして接種数が100%を超えたあたりから急速に陽性率が低下しました。現在両国とも陽性率が落ち着いておりデルタ株の影響をあまり受けていないようです。

チリ・ウルグアイ・ペルーの状況

この3国は南米に位置し中国のシノバックワクチンを積極的に使用している共通点があります。チリとペルーは南米の太平洋岸に位置しており、ウルグアイは同じく南米でも大西洋側に位置している違いはあります。
ウルグアイは接種開始直後は非常に高い陽性率となっておりワクチン効果が無いものと思いましたが接種数が80%を超えたあたりより減少に転じて現在は比較的低い陽性率となっています。
チリにおいても接種数は100%を超えるあたりより減少に転じております。
ペルーではまだ接種率は低いですが接種が進むにつれて陽性率が減少しています。
なお、変異株についてはチリはガンマ株が主流でラムダ株、ミュウ株が続いている状況となっており。ペルーではラムダ株が多い特徴があります。

サンマリノの状況

サンマリノはイタリア半島北東部に位置する世界で5番名に小さい国家です。F1では1国で2つのGPを開催することができないためサンマリノの名を借りてサンマリノGPをイタリアイモラで開催していたので有名となりました。サンマリノでは観光業が主要産業であり、観光保護の狙いでロシアの開発したスプートニクVワクチンを積極的に活用しています。サンマリノは陽性率のデータを開示していないので新規感染者数で代用して下図に示します。接種数が40%を超えた付近より新規感染者数は減少に転じています。先月までは新規感染者数がほぼゼロまで低下しておりましたが、現在は若干増加しています。おそらくデルタ株の影響かと思います。

イスラエル・アメリカ・日本の状況

イスラエル、アメリカ、日本は地域こそ大きく離れていますが、ファイザーおよびモデルナのm-RNAタイプを使用している点で共通しています。イスラエルは接種数が60%を超えたあたりから陽性率は低下に転じており、最終的に接種開始時の陽性率を下回るところまできました。しかしながら現在はデルタ株の影響で再上昇しています。
アメリカは接種開始時の陽性率は14%程度と高かったものの接種開始とともに低下しました。その後停滞期があった後に接種数が60%を超えた付近より再び低下しました。しかしならがら、イスラエルと同様にデルタ株の影響で最近は急上昇してきました。
日本では接種開始当初はアメリカと同じ傾向を示していました。しかし、7月に入りデルタ株の拡大により陽性率は急上昇しています。残念ながらワクチン接種率は増えましたが効果として現れていません。あと1ヶ月接種を早くしておけばと悔やまれるところです。
この3国に共通しているのはデルタ株の影響が大きくでていることです。

イギリスおよびEU諸国の状況

イギリスはワクチン接種が成功している国の一つです。接種されているワクチンはアストラゼネカ、ファイザー、モデルナとなります。また、EU加盟国はこれに加えジョンソン&ジョンソンを追加して併用しています。イギリスとEU諸国では比率に差異があり、イギリスはアストラゼネカの比率が高いのが特徴となります。(下表参照)

ファイザーモデルナアストラゼネカ
イギリス40.5%0.2%59.3%
フランス75.5%8.6%15.9%
ドイツ73.8%6.7%19.6%
カナダ65.8%18.2%16.0%
アメリカ55.5%44.5%0.0%
日本79.5%20.5%0.0%

接種ワクチン種類(独自調べ)J&Jは含まず


イギリスは接種開始直後から順調に陽性率が低下しました。しかし、最近はデルタ株により再び上昇しています。
ドイツ、フランス、イタリア、カナダは基本的に同じ傾向でした。接種開始直後に陽性率が低下しリバウンド期間があった後に接種数が20から30%を超えた付近より再び低下に転じています。現在はいずれもデルタ株によると思われる陽性率の上昇が見受けられます。カナダは現在では接種率が140%にまで増加しましたが、やはりデルタ株の影響を受けて陽性率が増加しています。

まとめ

日本でのワクチン接種率は9月末には接種数で120%(60%の人が2回接種を終える)を超え欧米に追いつきそうです。先行して接種している国をみてみると、接種率が高くなってもデルタ株の感染は陽性率から判断すると防げないようです。ただし重症化する可能性は低いとのことで欧米では経済優先の対応をとっていると推測されます。今後も先行している国の状況をウォッチングしていきます。