先日、厚生省で開催された第108回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで報告された資料にて、都道府県別の抗体保有率調査結果が公表されました。この調査は令和4年 11 月6日から13 日にかけて日本赤十字社の献血ルーム等を訪れた献血者 8,260 名について、抗N抗体の保有率を調べたものとの事です。
一般に新型コロナウィルスに感染すると抗N抗体と抗S抗体の両者が陽性となり、ワクチンを接種した場合には抗S抗体のみが陽性となるとのこと。つまり、抗N抗体の陽性率を測定する事で過去に新型コロナウィルスに感染したかどうかがわかるとの事です。
その結果、抗N抗体の保有率は全国平均で26.5%とのことでした。この数字は他国と比較すると以前として少ないことがわかります。全米では2022年2月時点で57.7%、スイス・ジュネーブでは2022年5月時点で72.4%、スペイン・ナバラでは2022年5月時点で58.9%との数値があります。
この調査では都道府県別でも数値を公表していて、下図のようにマッピングされます。
最も抗N抗体保有率が高い(過去に新型コロナウィルスに感染した人の割合)のは沖縄県で46.6%、大阪府で40.7%、鹿児島県35.2%などとなっています。
逆に抗N抗体保有率が低いのは長野県9%、徳島県13.1%、愛媛県14.4%となっています。
都道府県による差がとても大きい事がわかります。
抗N抗体保有率が過去の感染者数を示すとのことなので、都道府県別に発表されている新規感染者数の2022年11月6日までの総和を都道府県人口で除したもの(感染者人口比)との関係を下図にプロットしてみます。長野県と徳島県以外は実際の感染者数は公表されている感染者数より多い事となります。
これより、実際の感染者数は公表された感染者数の約1.5倍であったことがわかる。
赤波線=感染者人口比と抗体保有率が等しいライン
青波線=一次近似直線
N抗体保有率が公表された感染者より多い理由としては無症状の感染者がいる事。逆に少ない場合は一人で複数回感染した方がいる事、献血可能な年齢(16歳から69歳)以外の方が感染している例が考えられる。